それは九月上旬のこと

　２３時から渋谷発の半蔵門に乗って錦糸町へ向かう。がらりと空いた席に腰を落としお気に入りの音楽をチューンしていると隣に３人、向かいの席に３人、メンズノンノやＨＵＧＥに載るコレクションに出んばかりのスタイルの欧州系白人が安酒を片手に現れた。既にドランカーなようで陽気な英語が車内を飛び交う。使う携帯電話も海外仕様であり、やはり指先まで格好好い。一人が「someone～～seat」と諭し、酔った仲間に席を詰めさせていた。時折そういった会話をイヤホン越しに聞き耳を立てながら、勝手に緊張していた。青山１丁目で彼らが降りる時、酒の缶を置き去りにしたりつり革で懸垂したりと、洗練にじゃれる。

　pです。およそ１ヶ月ぶりの更新をお詫びするとともに残暑が去り肌寒さを体感する中、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

　待ちに待った郷友が東京に遊びに来る。９月１日、２３時にオフィスから新宿東口で待ち合わせをした。打ち合わせの段階から満員電車を意識させていたので彼は東京駅から新宿までタクシーで現れた。「ベネトンや叙々苑の看板が見える」。９月２日は午後から中野駅で沖縄からの訪人を迎えて３人でブロードウェイのまんだらけに行った。「ネットアイドルが薦めるんだ」と、彼は住みたいというほどに気に入ったらしい。そのあとは下北沢を回ってお茶をする。テーブルでは祭りカードを手にとって話をして、待ち合わせの渋谷１０９前に向かった。他に３人と合流した後で飲みに行った。飲める人が酒の注文に迷うと薀蓄がてら人に勧めてしまう皮肉。沖縄人を見て、改めて酒に強い体質に素願した。その後は夜景を眺めに六本木ヒルズの展望台に登った。生憎に尊大な土地は、その界隈でも物価がものを言わせる。そんな高層の洗練された空間においても、持ち運んで繰り出すギャグは僥倖。２３時を回るころには代々木のカラオケで朝まで時間を待つことにする。奇なる歌が織り成され続けた。朝方に一人総武線で別れた。残った５人で新宿南口まで歩き、狭い我が家に就寝するのは３日の朝７時。「不可避の二次災害」。昼下がりに目覚め全員シャワーを浴びて、自分は渋谷のオフィスに向かうため一向と別れた。２３時、下北沢から小田急に乗って町田へ向かう。ドトールにいた二人は色下ろしが終わった後であった。それから辛辣な空気で飯を食べた。一人の到着を待つため駅で待ち佇んでいた。酔い狂った大学生の集団を横手に、久方ぶりの昵懇。気の置けない話をした。淵野辺でゲームをしたりしたところまでは覚えていたが翌日もオフィスワークがあったので、寝た。その間に皆が見たアニメを先日見たところ、確かに虚脱感があった。４日の朝、沖縄の二人を見送った。5日もオフィスに行った。6日の夕方はロイヤルホストでオムライスを食べた後、「軽く食べられるのはラーメンくらいでしょ」という出身高校のとある仕来たりのもとに中華料理屋を訪れる。肉チャーハンがうまかった。ジャージャー麺も中国人仕込みでオイリーであった。それから雨の靖国神社を訪れた。木々の下を雨に濡れないように渡る。本堂は閉門していたが柵の隙間から中のほうを覗いたり鳥居をバックに写真を撮ったりして、雨止みを待った。それから神楽坂のマクドナルドで私は少し寝た。7日の深夜2時くらいから始まった擦り付けのすかし合いは録画で残っている。昼は新宿でタリーズに寄って時間が迫り来るのをただ待つように思えた。
　それから醸成ない別れと割愛を告げる。

　また、いつか。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再拝

「」の変

　雰囲気のいいバーを知らないかと尋ねたところ渋谷スペイン坂にあるカフェバー「人間関係」を紹介されたのでオフィスに赴く前に立ち寄る夕方。確かにお洒落な雰囲気が出ている。まだ日があるうちで夜の表情をこぼすことはなかった。

　pです。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

　周囲の客に倣プレーンなスコーンをひとつ受け皿にとりレジに並ぶ。のどが渇くためカフェラテを頼む。レジで品物が出来上がる間、棚に並んだ酒のボトルを眺める。夜はこれらが飲めるらしい。座席に困ったのでレジ前のカウンターに一人座る。店舗面積が想像以上に大きく、人も入ったいたためざわついていた。BGMも静かなものではなかった。しかしながらお洒落ではあった。昼の店内は落ち付いた空間よりも会話を弾ませる場所として使われる、か。いずれにせよ、夜の表情を見てみたい。

　日曜日、念願の東京事変のライブに拝見に水道橋へ。久しぶりのJCBホールで、堀抜き型の会場を思い出す。前座は二組。ZAZENBOYSのボーカルは特徴的で面白い。シャウトと休符に声を入れる様はほとんどCDを聞いているようだった。
「マツリスタジオからやって参りました、ZAZENBOYSです」

　東京事変が登場してからは覚醒し「あぁ」しか言えなかった。
　林檎氏は、NHKのインタビューでも言われていたが、毎回微妙に表情が変わる。相も変わらず艶な出で立ちだったが、前かがみになったときには恍惚がほとばしる。掲示板で叩かれ心配される声の調子も、快調だったように聴こえた。それにしてもお美しい。裕美子さん。
　MCの浮雲の第一声が「おいっすー」。新しい髪型と改めて顔の小ささに見入っていたところの、逆襲と言えるアプローチ。そうだ、彼は決められたことがちゃんとできない男だった。それでも彼の演奏スタイルは盗めた。イメージするところは「塔」。「川雲kwgm」スタイルの完成は近い。
　セットリストで最初の曲は某都民。林檎氏は上手から登場。「そう此処、東京」では客は煽られたのか。ベースソロ、胸元が開いた黒いシャツを着た師匠があまりに可愛かったので、泣きそうになる。
　歌舞伎のソロを簡略化しなかったのはいつもながらの伊澤と師匠。この日はハイポジションの複数の弦にわたって早弾きするフレーズがどのバンドのベースでも見られた。早弾き、堅実に身につけていきたい。
　黒猫道の林檎氏は、反則。本当に販促。
　透明人間はなかったが、左右で違うスティックを使ったハタさんの４つ打ちの、左手を生で見てニヤニヤ。確かに、走者らしい。そして、笑顔がとっても可愛らしい。
リズム隊の二人は本当に愛おしい。師匠のMCは、言葉使いが狂信をくすぐる。家を出るときね、夏が終わるって感じて、すっごいセンチになるんだ、と。こっちがセンチになりますよ、と。跳んだハタさんも無邪気。撮影がいたのでDVDで出るだろう。
　質量無く時間が過ぎ、残った感想は「素敵」の一言に尽きたライヴであった。

　夏が終わるといえば、もう秋物のジャケットを買った。
　今日はこれからファッションショーに行く。
　変な力みがあるが、澄まし顔で行くか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再拝

帰省後

　6日の夜にキャリーケース、パソコン、バックと共に自宅を出発する。新宿東口で友人と待ち合わせし、西口を彷徨する。23時に新宿センタービル前でバスに乗り、約６時間の長旅が始った。

　pです。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

　バスは夜行につき、就寝が前提となっていてカーテンがすべて閉められていた。発車後すぐに、車内の照明を落とし、次の点灯は2時間おきのパーキングエリアです、とアナウンスが流れた。2時間おきに自然に起こされると深い眠りにつけないと悟りながら、友達とグミを食う。隣の席は空席で座席も想像以上に居心地が悪くはない。バスを選んだのは経済的な面もあるが、いままで新幹線しか乗ったことがなかったために初めての経験をしたかったからであった。

　7日早朝、仙台に到着。仙台祭りと重なっていたため、立ち寄ることにする。祭りに合わせて設けられる特設の手荷物預かり所は１０時から営業開始するためマックで4時間潰す。朝マックのエッグマフィンを食べながら終始会話を続けながら行き交う人々を眺める。青チャートを持った人々を見かけては昔を思い出したり、バイト募集の張り紙に書いてある自給の低さに東京を比較してしまう。通行人に友人を見つけ声を掛けそびれる。元気にやっていそうであった。
　10時になると荷物を預け身軽になり、連絡していた予備校の友達のもとへ向かう。メインストリートは毎年込み入っていて、地元に帰ってきたと実感する。予備校には成績優秀者のランキングの張り出されており、色々名前を探し出したりした。友人3人と話をしながら、昼飯の時間が近づいてきたので私の要望で利久に牛タンを食いに行く。色々話を交えて互いの近況を語った。
　その後予備校の友人と別れ二人で祭りを回った。カラオケに行ったり、タイパンツを買ったりした。

ダイエーの角を曲がったところで、的屋が並んだ通りにでた。胡散臭いたい焼きを買って、これだよこれ、と祭りの側面を実感する。





　その後、チャイナドレスが売っていたり、魚屋の臭いが活気に混じる横丁を横目に、本屋へ向かう。家庭教師用の教材探しは難しい。その後友人と駅で別れ、それぞれ本当の地元へと向かった。
　夜、駅で車の迎えと待ち合わせし、荷物を積み込みどさっと後部座席に座り「いいな、地元は」。家に帰る途中、元バイト先の酒屋に寄り、母が好んで飲める唯一の酒と、たこわさを買い、５月に予約していた泡盛を漸く手に入れた。
　家に到着してからまず犬と戯れて、その後晩飯を食い、さっとシャワーを浴びて、久しぶりにベッドで快眠に就いた。
　８日は昼から美容室に向かった。途中まで車で送ってもらい、歩いて店先に着くと、移転の張り紙が出されていた。移転先が左程遠くなかったので、そのまま散歩がてら歩いて向かった。移転先に着くと入口がわからなくうろうろとしていた私をスタッフが見つけてくれた。東京の生活を話したりしてパーマをかけていた時間が短く感じた。その後、逮夜で実家に向かい、翌日の準備をした。酒の買出しに行ったときにミニチュアのVSOPがあったので即購入。その他にも珍しい古酒が埃にまみれていたので、喜んで買った。
　９日の法事では親戚が集まって読経をあげた。同級生の兄が坊主として来訪し、近況を聞いたりした。経文を初めて読んだが、振り仮名が降ってある経文は少し笑える。
　夜家に戻ってから、翌日のために花火の買出しに向かった。適当にセットとバラ売りを買い、付き合ってくれた友人のトランクに置かせてもらった。
　１０日は同級生２９人と焼肉に行った。座敷を借り切って、雰囲気としては落ち着いた感じだったか。幹事が糞だった故のクオリティであった。生でカルビを食ったり、ホルモンばっかり食ったりと、飲み会は席が様々になる。
　食い終わってからは花火をするために土手に向かった。２９人という大所帯を完全に軽視していたため、花火が不足した。糞幹事であった。それでも花火は楽しかった。手に持ってはいけないものを、手に持って着火する行為は諸刃の剣であった。解散はぐだぐだになったため私をふくむ４人で夜中の母校に行ってみた。車内で一夜を明かした。
　１１日。始発で二人が帰ってからマックで朝飯を食べ母校へ挨拶しに行った。講義中の先生を廊下から眺め「おぉ」と一言もらって、自宅まで送ってもらった。
　夜は中学のときの連中３人と会った。皆会社の話をして、車の話をして、当時の様態で時間を過ごした。「酒に酔った時は、塩水を飲むといいって、テレビでやってた」と言い張るやつを３人で否定し続けた。「酔いは脱水症状なんだって。だから塩なんだよ。テレビでやってた」と言い張り、私が頼んだお冷に塩を入れて私に飲ませた。
　１２日は仙台に出かけた。ギターを買いたいやつがいたので、一緒に選んだ。デパ地下巡りなるものもやってみた。あるブランド古着屋でマルジェラのジャケット25000円が16800円になっていたので、衝動にかられたがストールを買って、仙台を後にした。
　13日は家族でお盆の墓参りに行った。墓へ向かう途中、ミニストップでファーストフードを買い車内で食べているとソースが白のTシャツに垂れた。焦りながらウエットティッシュで拭き、墓地の水道で洗った。ブラックレーベルだったので本当に焦った。夜はまた大所帯でカラオケに。東京で仕込んでいた曲を歌ったり、久々の赤西亀梨を聞いて楽しみました。冬ソナのテーマを韓国語で歌うとか、斬新なギャグで、杉さんは相変わらずイレギュラーなタイミングで突入してきますね。東京では見せない一面は衰えていなかった。その後まるまつで食べて、解散した。
　14日は祖母の家に行き、お盆の集まり。普段会えない年が近い親戚とも会えました。大叔父の家に場所を移し、ごちそうになる。酒にうるさい人なので、特級品を出してくれた。

高級麦焼酎「泰明」
純米大吟醸「田酒」
泰明は香りが炒った麦のような香り。田酒は栗駒山の大吟醸と同じくらいだったか。他にも高級ブランデーがグラスに注がれた。親戚の結婚が決まったので、皆飲んでいた。
　出来上がった状態でそのまま、またも中学の時の同級生と八剣伝へ。適当にゲームセンターに向かい、メダルをやってみると大当たり。そのままファンキータイムーでビリボウ等で時間を潰し、映画蟲師を見て、シアタールームで一晩明かした。
　15日。朝方に帰り、少しリビングで寝ました。夕方家族でボウリングをやりに隣町まで車を飛ばす。母を除いて平均１３０くらいとるので、なかなかし烈である。途中からカーブの練習に明け暮れて、だいぶマスターできた。ストライクがとれたら商品がもらえるというイベントも、家族団欒の楽しみを大きくさせた。その後は焼き肉を食べに行った。満足して帰ろうとすると急遽パチンコ屋へ向かった。当りは出たが、結果はトントン。パチスロをやる人の気持ちがわかるようになった。
　16日の晩飯は、兄の彼女を招いて手巻き寿司。この2日間は家族団欒を噛みしめた。東京にいるからこそ何倍にも増幅されて味わえる家族の楽しさ、ありがたみ。食べた後に、急きょ飲みに行こうとなって、中学の同級生と5人で出かける。ボウリング場まで車を飛ばしたものの、我を貫いた奴に負けて、ファミレスで喋って一晩を明かす。服の話でなかなかついていけてなかった所も多いが、やっぱりレベルが高い人たちは楽しい。
　17日は家族と胡散臭い中華料理屋へ。

天津飯セットを食べたが、以前より所謂胃が小さくなったせいか、満腹になりかけた。
食べた後、本屋でTUNEを買って帰宅。
2度目の親父との晩酌後、荷造りを開始した。
　18日は、朝7時10分のバスで仙台まで向かい、そこから東京行きのバスに乗った。昼に運行するので、外の景色がよく見えた。
　足立区から上京し、首都高やら幹線道路やら分からなくなる道を進みながら、左から現れてくるテレビでやっていた出入国管理局の建物に感動した。桜田門、半蔵門、日本銀行、警視庁、国会議事堂を通過しながら、永田町を歩いてみたいと思った。
　新宿西口で下りた。京王西口は安田口であると初めて分かった。京王線に揺られ桜上水で降りて、帰宅した。

　なんだか、語りつくせぬ帰省であったと思うのであります。

　今日から、東京らしい生活が再開する。

　忙しくなりそうだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再拝